先日、25年使い続けてきたAdobeを解約しました。
Photoshop、Illustrator、XD、After Effects、そしてAdobe Stock。デザインも動きも素材探しも、私の仕事のほとんどはAdobeの中にありました。ショートカットは指が覚えていて、画面を見なくても手が動く。25年かけて身につけたその感覚は、私にとって道具というより体の一部に近いものでした。
その契約を、自分の手で終わらせました。
いま、1日14時間Claudeと向き合っている
今の私は、1日のうち14時間ほどをClaudeとの対話に使っています。
使い始めて分かったのは、変わったのは道具ではなく、仕事のプロセスすべてだということです。
これまでのWeb制作は、まずデザインを作り、それを見ながらコーディングをして、必要な機能をプログラミングする、という順番で進めるのが当たり前でした。工程ごとに担当があり、データを受け渡しながら少しずつ形にしていく。私自身、25年間この流れの中で仕事をしてきました。
いまは、その順番そのものがいりません。何を実現したいかを言葉にすれば、デザインもコードも仕組みも、同時に形になっていきます。
むしろ、以前の工程を間に挟むことが無駄になってしまいます。先にデザインツールで画面を作り込むと、それを再現するための手間が増えるだけで、完成までの道のりはかえって遠くなります。良かれと思って加えた一手間が、そのまま回り道になってしまうのです。
切り替えには、すごく抵抗があった
正直に言うと、私も初めはこの変化を受け入れられませんでした。
ずっとデザインを作ってきたという自負がありました。自分の手で画面を作ることこそが、自分の仕事であり価値だと思っていたからです。だから切り替えには、すごく抵抗がありました。
これだけAIが普及した今でも、多くの現場では、Illustratorでデザインを作り、それをもとにコーディングをしているのだと思います。
否定するつもりはありません。ただ、私はそれを本当に無駄だと感じるようになりました。
電卓があるのに、そろばんを使い続ける。パソコンがあるのに、原稿を手書きで書き続ける。Excelを使えばすぐなのに、表を手で引き続ける。今の状況は、それに近いと思います。
そこには、その作業をすることに無理やり自分の価値を見出そうとしている部分があるのではないでしょうか。かつての私がそうだったように。
価値はどこにあるのか
本来の価値は、デザインをするところにあるのではありません。お客様の利益を最大限に叶えることにあります。
デザインもコーディングもプログラミングも、そのための手段でした。手段が変わったのなら、手段にこだわる理由はありません。浮いた時間を、お客様にとって何が一番良いのかを考えることに使えばいい。そう思えたとき、ようやくAdobeを手放す決心がつきました。
これが最後の変革期になるのかもしれない
25年のあいだに、いくつもの変化を見てきました。インターネットが広がり、スマートフォンが生まれ、仕事のやり方は何度も塗り替えられました。
それでも、今回の変化は質が違うと感じています。これまでは道具が変わっても、考えて手を動かすのは人間でした。いまは、その「考える」ところにまで新しい相棒が入ってきています。
だからこそ、これが最後の変革期になるのかもしれない、と思うことがあります。
感謝と、震えと
怖さもあります。昨日の常識が今日には古くなり、世の中が日々姿を変えていく。その速さに、震えながら生活しているのが本音です。
それと同時に、強く感謝もしています。歴史の大きな転換点に、作り手として立ち会えている。25年続けてきた仕事の延長線上で、この瞬間に出会えたことは、とても幸運なことだと思います。
おわりに
Adobeを解約したのは、過去を否定したからではありません。
25年間、デザインを作り、コードを書き、工程を積み重ねてきた。その過去があるから、今がどれだけ大きく変わったのかが鮮明に分かります。
MARBLEはこれからも、手段ではなくお客様の利益に向き合いながら、新しいやり方で仕事をしていきます。
